羽化

園長日記

羽化

二日目の朝は、本堂で仏参と坐禅をします。坐禅と言っても、本格的な坐り方はまだ難しいので、正座で行います。昨日と起床時とは違い、とても凜々しい顔をしています。たった一泊なのに、園児達の表情ががらりと変わるこの光景には、毎年感動します。

坐禅後には、不安や緊張について自戒を込めて話をしました。
子どもに限りませんが、何か初めてのことに臨むときや挑戦するときは、緊張や不安は付きものです。でも、そこで一歩前に進まなければ得られないものもあります。
子ども達に、「今はどんな気持ち?」と尋ねると、「楽しかった」「面白かった」などと返事が来ました。
「そうだよね。でも、不安だからといってしなかったら、今の気持ちにはなれないままだったね」という旨を話すと、静かに頷いていました。
不安や緊張もするけれど、一歩踏み出せば、それはもう過去の自分となり、勇気と自信と喜びに満ちあふれる今の自分になります。それが子ども達の表情にきっと表れているのでしょう。

起床時、テラスの天井の梁に、羽化した蝉が羽を乾かしていました。
数年間ずっと土の中の世界しか知らなかった蝉が、たった一日で、地上という新たな世界に臨み、脱皮という衝撃的な経験を経て羽化をする・・・。
子ども達にとってのお泊まり保育は、この蝉のように劇的な経験だったのかもしれません。